誰が救われたのか?

メディアが報道する情報を見聞きする立場でしかないので誰かに対して
批判も養護もするつもりはない。

元々の当事者が直接認めているのは、女性との間にトラブルがあった、
ということで、その事案に対しては示談が成立している、ということなので、
二者間でそういうことがあった、というのは事実だろう。
スクープ記事を掲載した週刊誌でも「性加害」事案とまでは表現していないが、
示談における金額が「9千万円」とか、被害者側の表現として
「昔の自分には戻れない」ということから、SNSをはじめとして
それを前提として非難・擁護それぞれが飛び交っている。

ところが、それ以外の登場人物に関しては、記者会見でも認められていないので、
週刊誌のスクープをどこまで信じるべきかは読、今現在の時点では、読者の判断に
委ねられている。

よくわからないのは、被害者とされる女性との間に示談が成立しており、その背景に
当該女性のプライバシーを最大限に尊重し、誰にも知られず社会復帰をしたいという
女性側の意向が正しいとすると、このような記事がこういう形で出回るのは疑問を
感じる。

フジテレビが関与しているとされている中で、社員が相談に乗っていたのは事実だと
社長がコメントした時点で自ずと現在は社員ではないが当時はフジテレビ社員だったと
言っているようなもので、メディアが明に表現していなくとも、事案の発生時期から
しばらくして長期に渡り体調不良となり、最終的に退社したアナウンサーと結びつけて
考えるなという方が無理がある。
そもそも仮にそうだったとしても、刑事事件とせずに示談とした背景から、当人が
「私です」とは言う訳ないのだから真偽を問うのは不毛の議論である。

先ほど、加害者とされる側が芸能界引退を表明した。
国民的グループと称され、解散して既に8年以上経過した今でも再結成を望む声が
少なくない中、このような幕引きはそれを不可能とする刻印を押されたに他ならない。

港社長の記者会見が閉鎖的で、コメントできない旨の内容が多かっただけに、
スポンサーや大口株主からの指摘は厳しく、フジテレビの企業体質が問われる
とともに、それは、芸能人を使って番組を制作する他のテレビ局にも厳しい目が
向けられている。

視聴率をとれる芸能人とテレビ局の関係のゴシップは今に始まったものではないが、
昭和、平成を経た昨今のコンプライアンスが問われる世の中では、国民的スターの
引退にまで発展した以上、フジテレビ関係者の関与についての追及は厳しいものになる。

それがフジテレビに限らず、ショービズ界全体の悪しき慣習を一掃できるのであれば
大きな代償ではあるけれども、長い目で見れば意味はあるだろう。

ひとつ、ひっかかることがある。
被害者の女性がこういう状況を望んでいたか。
当事者である元スターの引退は、本人よりも彼を応援してきたファンが願い続けた
再結成の夢は絶たれた。
テレビ局は、悪しき慣習があったとすればその制裁を受けなければならないが、
そこで働く社員が自分の意思でそれに加担していたとも言い切れないので、
テレビ局社員にも大きな後悔の念を植え付けた。
結局、喜んでいるのは、売り上げが伸びた週刊誌だけかもしれない。

記事を書いた側は、もともとは正義感に駆られての報道はともかく、この騒動の
結末が見えてきた時、最終的に誰を救うのか?

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