誰のためのプロ野球なのか?

とりあえず今週末のストライキは回避された。
今回の騒動の中で、「ストライキは絶対やるべきではない」という声がプロ野球OBに多かったように私には思えた。
その理由の多くは、週末は子供達がその試合を見るのを楽しみにしており、その夢を壊してはいけない、というものだったように思う。
確かにその考え方自体は正しいと思うが、今の日本のプロ野球を変えないままでいること自体の方が、これからの子供達にとって不幸に思える。
選手の体力やスピードについて、それぞれの時代の選手達をリアルタイムに観てきた人たちからすれば、「今の選手なんかよりも全然すごかった」という意見もあるに違いない。しかし、フラットな目で見れば全体的にレベルはアップしているはずだ。だからこそ、野茂やイチローのような選手が出てきている。
しかし、体力やスピードがレベルアップしたにも関わらず、今の日本のプロ野球がつまらないのは何故なのか。
今回の騒動の発端は近鉄であるが、ここまでこじらせたのはナベツネに代表されるジャイアンツが中心で成り立っているという時代遅れの錯覚である。この錯覚に見て見ぬふりをしてきたオーナーたちの責任は重い。選手自体がつまらないのではない。ドラフト以降の選手の均衡化は、それはそれで目的を達していると思う。
ジャイアンツには人気・実力をともに備えている選手がプロ野球が誕生した時点から多かった。テレビ放送の開始とともに、長嶋茂雄という戦後最大のスーパースターと世界のホームランキング・王貞治という両雄を柱に、ジャイアンツの人気は不動のものとなった。この歴史が現在まで錯覚から目を覚まさせない最大の理由である。
ジャイアンツは人気がある→人気があるからジャイアンツの試合を放送する→テレビではジャイアンツの試合が中心になる→野球を好きになるきっかけがジャイアンツである子供が多くなる→ジャイアンツの人気が高くなる→…というこの無限ループが今のプロ野球をダメにしてしまった。
メジャーリーグのテレビ放映権収入の仕組みを日本プロ野球が取り入れてこなかった最大の理由は、ジャイアンツが上記のループによって得られるうまみを崩したくなかったからに他ならない。したがって、セントラル・リーグはその恩恵に預かるべく、ジャイアンツの意向に賛同してきたし、パシフィック・リーグにおいてはシーズン中の対戦が無いために、人気を得るきっかけすら与えられなかったわけである。
この悪しき構造を変えるためには、血を流してでもコミッショナーおよびオーナーをはじめとする経営陣の意識改革をしなければならない。当然、そうなれば、客を呼べない選手に法外な報酬を与えるような曇っためがねを持つバカな球団はいなくなるはずで、全体が改革されるはずだ。

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誰のためのプロ野球なのか? への1件のコメント

  1. 11、12日のストは回避

    プロ野球の再編問題をめぐる労働組合・日本プロ野球選手会と経営者側代表の労使協議は10日、双方が最終的な妥協点には到達しなかったが、選手会は予告していたストライキ…

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